本院で、脳炎・脊髄炎または脳症の精密検査をうけられた患者さん・ご家族の皆様へ
~平成25年1月から令和5年9月6日までに採取された脳脊髄液または血液検体の医学研究への使用のお願い~
【研究課題名】
急性脳炎・髄膜炎および脳症における病原微生物の網羅的遺伝子解析
【研究の対象】
この研究は以下の方を研究対象としています。
2013年 (平成25年) 年1月~2023年 (令和5年) 9月6日までに当院で脳炎・脊髄炎または脳症の精密検査目的で脳脊髄液検査または血液検査を受けられた方
【研究の目的・方法について】
脳炎および髄膜炎は、脳や髄膜に炎症が生じた状態を指し、急性脳症は主に小児において先行感染後に発症することがあります。これらの疾患は意識障害や痙攣(けいれん)などの症状を引き起こし、場合によっては脳の機能に後遺症を残すことや生命に関わることもあります。これらの疾患の主な原因は感染症とされていますが、その病原体が特定できないケースが多いのも事実です。過去の報告では脳炎・髄膜炎の発症例の約半数は原因が不明であったと報告されています。これは、感染症以外の原因(自己免疫など)が関与していた可能性もありますが、まだ検査されていない稀な病原体が原因であった可能性もあります。
私たちの研究では、過去に脳炎、脊髄炎、あるいは脳症が疑われ、脳脊髄液検査や血液検査が行われた患者さんの残余検体を使用し、人の中枢神経系(脳や脊髄など)に感染する可能性のある多くの病原体を包括的に調べます。これにより中枢神経系感染症の原因となる病原体の全体像を明らかとすることを目指します。さらに、次世代シークエンシング法(NGS)という検体中の遺伝子配列を包括的に調べる手法を用いて、現行のPCR検査法と比較しながらNGSの意義を評価します。NGSによって病原体の遺伝子配列情報を利用して、臨床的に重要な情報(例:中枢神経に感染しやすいウイルスの特徴や薬剤耐性の割合など)を調査します。
私たちの研究は、現在も原因が明らかでない中枢神経系感染症の全体像を明らかにし、その結果をもとに早期診断や効果的な抗微生物薬の選択に役立つ情報を提供します。これにより効果的な治療戦略の確立に貢献することを目指しています。
研究期間:2023年9月6日~2028年12月31日
【使用させていただく試料・情報について】
本院におきまして、脳炎、脊髄炎、脳症の診断またはその疑いで精密検査が行われた患者さんの残存した脳脊髄液(残余検体)または血液を医学研究へ応用させていただきたいと考えています。その際、調べた結果と診療情報(例: 治療の効果)との関連性を調査するために、患者さんの診療記録(情報:下記※1,2参照)も調べさせていただきます。
なお、本研究に患者さんの脳脊髄液や血液(試料)及び診療記録(情報)を使用させていただくことについては、大分大学医学部倫理委員会において外部委員も交えて厳正に審査・承認され、大分大学医学部長の許可を得て実施しています。また、患者さんの試料および診療情報は、国の定めた「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に従い、特定の個人を識別できないよう加工したうえで管理しますので、患者さんのプライバシーは厳密に守られます。当然のことながら、個人情報保護法などの法律を遵守いたします。
※1 年齢、性別、診断名、識別コード (カルテ番号)、身長、体重、臨床情報:既往歴(免疫不全の有無)、合併症、臨床経過、体温、脈拍、臨床症状、治療歴、臨床検査結果、病理学的検査、画像診断、試料取得日、病原体診断結果 など
【使用させていただく試料・情報の保存等について】
脳脊髄液および血液(試料)の保存は論文発表後5年間、診療情報については論文発表後10年間の保存を基本としています。保存期間終了後は、試料は焼却処分し、診療情報については、シュレッダーにて廃棄したり、パソコンなどに保存している電子データは復元できないように完全に削除します。
ただし、研究の進展によってさらなる研究の必要性が生じた場合はそれぞれの保存期間を超えて保存させていただきます。
あなたから提供された試料・情報を,現時点では特定されていない将来の研究に二次利用する可能性があります。利用する場合は,その研究について新たに研究計画書を作成し,倫理審査委員会での承認・研究機関の長の実施許可を得たうえで利用いたします。
【外部への試料・情報の提供】
本研究で収集した試料・情報を他の機関へ提供することはありません。
【患者さんの費用負担等について】
本研究を実施するに当たって、患者さんの費用負担はありません。また、本研究の成果が将来医薬品や検査方法などの開発につながり、利益が生まれる可能性がありますが、万一、利益が生まれた場合、患者さんにはそれを請求することはできません。
【研究資金】
本研究においては,公的な資金である大分大学医学部腫瘍・血液内科学講座の寄附金を用いて研究が行われます。
【利益相(りえきそう)反(はん)について】
この研究は,上記の公的な資金を用いて行われ,特定の企業からの資金は一切用いません。「利益相反」とは,研究成果に影響するような利害関係を指し,金銭および個人の関係を含みますが,本研究ではこの「利益相反(資金提供者の意向が研究に影響すること)」は発生しません。
【研究の参加等について】
本研究へ試料(脳脊髄液・血液)および診療情報を提供するかしないかは患者さんご自身の自由です。従いまして、本研究に試料・診療情報を使用してほしくない場合は、遠慮なくお知らせ下さい。その場合は、患者さんの試料・診療情報は研究対象から除外いたします。また、ご協力いただけない場合でも、患者さんの不利益になることは一切ありません。なお、これらの研究成果は学術論文として発表することになりますが、発表後に参加拒否を表明された場合、すでに発表した論文を取り下げることはいたしません。
患者さんの試料・診療情報を使用してほしくない場合、その他、本研究に関して質問などがありましたら、主治医または以下の照会先・連絡先までお申し出下さい。
【研究組織】
【本学(若しくは本院)における研究組織】
所属・職名 | 氏名 | |
研究責任者 | 大分大学医学部腫瘍・血液内科学講座 | 教授 緒方 正男 |
研究分担者 | 大分大学医学部微生物学講座 | 教授 西園 晃 |
大分大学医学部微生物学講座 | 講師 八尋 隆明 | |
大分大学医学部附属病院輸血部 | 講師 高野久仁子 | |
大分大学医学部附属病院血液内科 | 病院特任助教 河野 利恵 | |
大分大学医学部 神経内科学講座 | 教授 松原 悦朗 | |
大分大学医学部 神経内科学講座 | 准教授 木村 成志 | |
大分大学医学部 神経内科学講座 | 講師 増田 曜章 | |
大分大学医学部微生物学講座 | 大学院生 麻生優花 |
既存試料・情報の提供のみを行う機関 (※該当する場合のみ)
藤本育成会 会長、藤本愛育会 理事長 大分こども病院 藤本 保
【お問い合わせについて】
本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申し出下さい。
照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
住 所:〒879-5593 大分県由布市挾間町医大ヶ丘1-1
電 話:097-549-4411 (内線 6275)
担当者:大分大学医学部腫瘍・血液内科学講座 教授 緒方正男(おがたまさお)